マインドフルに話す実践

言葉とは、建設的にも破壊的にもなりえます。気づきをもった言葉は、ほんとうの幸せをもたらしうるものですが、気づきを失った言葉は人を殺してしまいかねません。

 

誰かがあなたに健やかさと幸せを感じる言葉をかけてくれたら、それは最上の贈り物となります。でも苦痛を感じる残酷な言葉をかけたら、生きる喜びも希望もみな失って、自殺したいと思ってしまうものなのです。

 

言葉によって、人は人を殺してしまいます。ある考え方や社会のしくみが一番だと主張して、自分の思想を熱狂的に推しすすめようとすれば、誰かがその目的の邪魔になった時、その人を抑圧したり、排除せざるを得なくなります。

 

これは1つ目のマインドフルネストレーニング(『いのちを敬う』=不殺生戒)と深く関わっています。こうした言葉は、一人だけでなく、多くの命を奪いかねないのです。…

 

仏教の伝統では、4つ目のマインドフルネス・トレーニング(『愛をもって話し、深く聴く』=不妄語戒)で、必ず次の四つの行いを自重するよう説いています。

 

1.真実を言わないこと。白を黒ということ。

 

2.誇張すること。話を作り上げて、実際よりもすばらしいものとして伝えること。あるいは実際よりも酷いものとして伝えること。

 

3. 二枚舌。ある人への説明とは反対の発言を別の人のところですること。

 

4.汚い言葉をつかうこと。侮辱したり虐げたりすること。

 

私達が子供に対して正語を実践し、子供が幸せや希望を感じ、自分への自信を持てるような言葉がけをするのはとても大切です。もし子供に向かって役立たずだと言い放てば、子供は将来にわたって苦しみます。

 

子供や、また伴侶やパートナーには、いつでもポジティブで希望に重きを置いた言葉がけをしましょう。

 

 ─ティク・ナット・ハン