2019.9.27掲載
プラムヴィレッジで、今月半ばから始まったレインズ・リトリート(雨安居)。ブッダの時代から続く、この3カ月間の安居の伝統は、プラムヴィレッジの共同体で大切に受け継がれています。開催に際し、老師のブラザー・ファップユンが誓いの言葉を寄せています。菩提心・母なる地球・サンガ(共同体)をテーマに、世界各地にいる私たちも、それぞれの場所で実践できる指針です。
タイへ
この貴き惑星のサンガの皆様へ
毎年3カ月間に渡って開催する雨安居の幕開けの式典に、プラムヴィレッジの僧侶たちと在家実践者たちが、再びアッパー・ハムレットに集まりました。
この儀式は、未だに生きて、サンガの抱擁を受け、一所で3カ月を過ごす伝統を維持できることが、いかに貴重で幸運なことであるかを、私たちが思い起こし、力強く激励されるものとなりました。
毎年この時期、プラムヴィレッジの共同体は一か所に集って、実践を深め、命の神秘を満喫するための期間をとっています。
今年の雨安居は、アッパー・ハムレットでは、比丘43名と見習い僧21名、在家者70名、ロウワ―・ハムレットでは、比丘尼56名と式叉摩那1名、見習い尼僧7名、在家者34名、ニュー・ハムレットでは、比丘尼56名と見習い尼僧7名、在家者18名を数えています。
計316名が全90日間の共同実践を誓いました。この間、短期参加の実践者たちがさらに何百人も加わります。
この雨安居では、3つの議題に焦点を当てていきます:菩提心、母なる地球、サンガ(共同体)。
菩提心
この長期間一所で過ごすリトリートは、私たちが自分自身の菩提心を再評価し、強めていくためのものです。
菩提心とは、私たちの愛のマインドであり、また、私たちが覚醒し自由を培うことを深く志す誓いです。
私たちがどれだけ煩悩や渇望、怖れや不安、観念への執着や身にしみついた悪癖から自由であるのか、自分自身に問いかけてください。
私たちの愛は、どれだけ生きたものでしょうか。
私たちの愛は、物事を深くみつめ、自分自身や相手、状況を理解することから生じているでしょうか。
それとも、愛への意欲や必要性などによる、押しつけがましく、誰をも救わず、辛さや苦悩を増す可能性を持つものでしょうか。
私たちの愛には、高慢さや、もっともらしい正義が含まれてはいないでしょうか。
母なる地球
二つ目に、私たちの惑星と人類の直面している苦悩を深くみつめましょう。
そして自分自身で、また共同体として、この苦悩を軽減する実践的な行動に取り組み、私たち自身とこの惑星が存続できる方向性へと移行するのです。
母なる地球は、私たちに目覚めるよう何十年も呼びかけてきました。タイ*(ティク・ナット・ハン師)は、母なる地球と恋に落ちるよう、私たちを導きました。
母なる地球の呼びかけに気づくことができるよう、忙しさから離れる時間を持ちましょう。そして地球を救う努力をしている団体に加わり、協力しましょう。
私たちの切迫した状況が必要としているものは、科学的な解決法や、政治的な調整、経済施策としての資本の引き上げだけではありません。
母なる地球とは、私たちの環境であり、命を持ち、愛し、私たちから分断することのない存在であることをみつめ、そのことに深く触れる、精神性の目覚めが必要とされているのです。
サンガ
三つ目に。サンガという共同体を築く実践は、タイが僧侶人生をかけ、また仏教を西洋にもたらした功績を通し、独自に重点を置き続けてきた特徴的なものです。
タイが法話の中でこう話すのを、私たちは幾度も耳にしました:「サンガを築くことは、私たちが精力を傾けることのできる、もっとも尊い務めです」「次に現れるブッダは、共同体です」
雨安居開始の対面の儀式。━━互いに帰依する。
この時代の局面において、サンガとは、抵抗の共同体であるべきです──過剰な開発や消費に対し、自発的に「景気後退」したり、暮らしをシンプルにすることで抵抗するのです。
へイトや差別に対しては、「私たち対その人々」というメンタリティの在り方に、鷹揚とした優しさや気前の良さ、包容力をもって抵抗するのです。
私たちがこうした世間との関わり合いを保つためには、同時に、朋友愛と連帯、そして調和のある持続可能な共同体を育み、維持していくことが不可欠です。
持続可能な社会を推進するためには、個人、地域、国家、また惑星という、あらゆるレベルにおいて、持続可能な共同体を組み込むことが欠かせないことが次第に明らかになってきています。
私たちが直面している
環境問題に立ち向かうためには、
精神的な革命が必要とされています。
─ティク・ナット・ハン
共同で暮らし、お互いと地球とを支え合う、新しい生活のモデルが必要とされています。これは、今世界中で数多く起きている社会運動と環境運動への私たちの貢献です。
実践
最後に。開会式では、最長老のブラザー・ファップ・ウンから、私たちが一途に取り組むことのできる、シンプルな実践をひとつ採り入れようという、手引きがありました──3ヶ月の雨安居の間、これを100%守るのです。
これには、僧院内での歩みをすべて満喫することであったり、出入りのたびにドアをマインドフルに開け閉めする、といった実践が考えられるでしょう。
目立つことのないシンプルな実践は、私たちの生活の他の面に大きな影響を及ぼします──私たち自身を癒し、変容し、幸福とはどんな時でも、今この瞬間に可能だと教えてくれます。
シンプルなひとつの実践が、私たちの愛のマインドを育み、母なる地球を育み、サンガを築くという尊い役目に貢献するのです。
皆それぞれの場所で、どうぞ私たちに加わってください。
私たちは、仲間がいることに気づいています。
目を閉じると、この美しい惑星のそこかしこにお互いがいて、意識的な呼吸を実践し、蝶々や、勇気ある若者たちにほほ笑みかけ、お互いを温かく抱擁していることが分かるのです。
私たちには信頼があり、愛があります。
ブラザー・ファップ・ユン
アクション
2019年9月20日、フランスのボルドーでは、90名以上のプラムヴィレッジの僧侶と在家者がグローバル気候マーチに参加します。可能な方はどうぞご参加ください。
アメリカのニューヨークでは、ブルークリフ僧院がグローバル気候マーチに参加します。参加方法について
上記以外の地域の方はリンクにて、お近くのイベントをお探しください。
(日本語訳・文責/西田佳奈子)
※恐れ入りますが、転載はご遠慮ください。