2024.2.8
Specious Mind 広大なマインド━━━Inclusive Heartすべてを受け容れる心
２０２４年辰年の対句のシスター・アナベルの解説全訳
プラムヴィレッジ最古老のお一人、シスター・アナベルが、２０２４年辰年の対句『Specious Mind 広大なマインド━━━Inclusive Heartすべてを受け容れる心』を、今年一年、ご自身がどのように実践するのかについて述べられています。
『広大なマインド━━━すべてを受け容れる心
この旧正月の新年を、自分自身の心と思考の広さを見つめる機会にすることができます。日々、私たちには自分の心と思考の器を大きく育む実践ができるのです。
自分自身の心の中にまだ許容してはいない誰かがいるのに気づくかもしれません。その人の居場所を自分の心の中にどう許容できるのか、深く観る実践を始めましょう。私たちが理解を深めるためには、広いマインドが必要です。そしてさらなる理解を深めて、私たちはすべてを受け容れる心の器を育んでいくのです。
私たちは自分自身に「許さなくてはいけない」と言い聞かせることがあります。でも許しとは理解なしには不可能なことなのです。（まず、）自分自身を許すことを学びます。自分の無知とその行動をとった時の状況を深く見つめるために、自分自身のおかした間違いともたらした被害を認めて受け入れるのです。その時自分自身の受けていた重圧や、感じていた必要性に気づくと、自分に対して思いやりと許しを覚え、同じ過ちは繰り返すまいと私たちは決心するのです。
自分自身を許すよう学ぶことによって、過ちをおかし、被害をもたらした他者への許しを学ぶのです。その人の置かれていた状況を察し、その人自身の無知から起こった苦しみを感じるのです。その時初めて思いやりを覚え、その人を許して自分の心に許容することができるようになるのです。
自分の心をさらにさらに開いていくことは、穏やかに、少しずつ進むプロセスです。それは忍耐と共に、日々のマインドフルネス実践と深く見つめる実践を必要とします。自分が心を閉じている時、マインドフルネスがそのことを認識し、深く見つめる実践によって、自分自身と他者についてを理解するのです。愛とは理解なしには不可能であり、理解とは愛なしには不可能なのです。
あらゆるものを含むことのできる力（インクルーシブネス）は、私たちを彼岸にもたらす(kṣānti pāramitā 忍辱波羅蜜多)と教えられています。それは逆境に辛抱強く耐える力でもあります。私たちを彼岸にもたらす力(prajñā pāramitā般若波羅蜜多) は、あらゆるものを含むことのできる力をともなって、私たちを彼岸にもたらすのです。
太陽が誰もを差別なく照らし、地球が私達皆を育むの同じように、私たちは自分自身の苦しみや苦手な人から逃避することなく、理解を用いて深く見つめ、嫌悪感や分裂の悲哀から自由になり、自分自身と共同体、世界を崩壊から解放することができるのです。
ブッダはこう説きました。「もし盗人や人殺しがあなたの手足や関節を鋸で切り落とそうとしても、あなたが怒りに身を任せてしまえば、私の教えに従っていないのだ。」これは自分の怒りの種が芽を出し始めたら、それを認識し、受容して、理解と慈悲をもって深く見つめることを思い出させます。
この誠実で正直な実践は、変容を起こす力と、そして分断を癒して、集合意識の種に水やりする力を待ち、私たち皆が自分自身と他者、地球との間で、より大きな調和の中で生きることを助けるのです。』
一人一人が、そして全ての人々が、みな安全で、平和で、調和に満ちた辰年となりますことをプラムヴィレッジはご祈念申し上げます。
※プラムヴィレッジの２０２４年辰年の対句の紹介記事より翻訳
シスター・アナベル・レイティ
ヨーロッパ応用仏教研究所所長。イギリス・イングランド生まれ。古典とサンスクリット語を学んだ後、インドでチベット尼僧たちと修行。８６年にティク・ナット・ハン禅師の弟子となり、８８年にインドでティク・ナット・ハン師の元で欧州初の尼僧として出家。プラムヴィレッジの実践監督を長きにわたって勤めた。世界中を旅し、多くの瞑想リトリートを指導し、独自のスタイルの説法で多くの人々を啓蒙し続ける。２０００年にはタイ国で初の西洋人尼僧として仏法を説いた。
＜今年の対句を印刷できます＞
★プラムヴィレッジ院長タイ・ファップフーの書（英語）による対句は以下のリンクからプリントアウトして、マインドフルネス実践のガイドにすることができます。
ひし形の二枚一組を切り抜いてお好きな場所に飾り、目に入る度に呼吸に意識を戻して、吸う息とともに「広大なマインド」、吐く息と共に「すべてを受け容れる心」と心の中で唱えて、今この瞬間と健やかな境地に心を戻すことができます。