ジョアン・ハリファックス老師(中央)、アメリカで働く医療者の状況をシェアしてくださったお弟子さんで医師のウェンディ・ラウさん(中央右)、日本のエンゲージド・ブッディストでハートオブのメンバーでおなじみの藤尾聡允さん(左端)、サンフランシスコのOIメンバーで、医療コンサルタントでもある友人のケイト(右端)と。2023年4月、仏教者とケアに携わる人たちに向けたジョアン・ハリファックス師の講演会で。

ジョアン・ハリファックス老師の結びの言葉

 個人の変容から始まる実践についてのシスター・アナベルのお話と共に、昨年聴講した、日本の社会や文化、組織的変容に言及されたジョアン・ハリファックス師のとても印象深かった結びの言葉も掲載します。

 

この時老師は医療、対人援助職、家庭内など幅広くケアに取り組む人たちの過酷な状況でのバーンアウト防止について重点的に語られ、今まさに日本の現場にいる人たちの質疑に、智慧と慈悲をもって真摯に答えられました。素晴らしい教えと取り組みで日本でも広く知られる曹洞宗僧侶のハリファックス師ですが、お若い時にティク・ナット・ハン師に深く感銘されて社会参画仏教者となられ、後にタイからの法灯を授かっています。

 

「…これまで個人の変容についてたくさんお話をしてきました。でも文化的、社会的、そして組織的な変容は、個人の変容と同じく、絶対に必要なものです。

 

あなたは人を傷めつけるような有害な医療システムの中で素晴らしい菩薩になれるかもしれません。

 

でも率直に言えば、たとえあなたが死体が転がるような修羅場で働き続けることができたとしても、それはあなたという、たった一人だけのことなのです。

 

つまり構造的、組織的な変容もまた起こらなくてはならないのです。このために個人の責任と変容は、組織的な責任と変容と同等の重要性を持つのです。

 

だから、あなた個人の課題に励みつつ、でも同時に、構造的暴力に関連する問題を解決し、変容していくために、将来における大きな責任があるということも理解していてほしいのです。」

 

——ジョアン・ハリファックス老師

 


 

この時はちょうどしだれ桜の美しい時期、桜を追いかけて日本中を旅したケイトに、聡允さんが臨済宗総本山建長寺をご案内してくださいました。

 

人気の座禅の先生でもある聡允さんは、今月29日(木)にも建長寺で外国人向け座禅会を指導されるそうです。また、聡允さんの記事がプレジデント2024年1月12号『運をつかむ習慣』に掲載されています。