バンコクのドンムアン国際空港に到着するティク・ナット・ハン禅師。2019年11月28日撮影。
写真提供:PVCEB
今月初旬、ティク・ナット・ハン師の容体について、プラムヴィレッジから公式発表がありました。健康診断のため、ベトナムからタイ国に渡航された先で予期せず、現地のタイ・プラムヴィレッジに滞在中のお知らせです。ティク・ナット・ハン師は、現在も治療方針に主体性を持って関わられ、しっかりとした意思表示をされています。世界でタイの精神の共同体を育み、教えと志しを継続していく、とのプラムヴィレッジ僧侶一同からのメッセージも。
2019年12月1日
サンガの皆様へ
去る11月28日に、ティク・ナット・ハン師が、総合検診のためにベトナムのフエから、タイ国のバンコクに渡航されたことを、皆様にご報告申し上げます。今回の渡航と診察は順調でした。
昨日の朝、ティク・ナット・ハン師はバンコクから車で北へ数時間程のパクチョンにある、私たちの共同体のタイ・プラムヴィレッジを訪問することを決められました。
現在のところでは、旧正月をフエにある起源の慈孝寺で過ごすに向け、短期間の訪問と見込まれます。 先月の93歳の誕生日以降、フエの寒さと雨の影響で、ティク・ナット・ハン師の健康状態はやや弱まり、肺炎を患っていました。ベトナムでは専門医の検診を受けることが難しかったため、先週、ティク・ナット・ハン師は昨年治療を受けたバンコクへ行くことを選ばれました。
11月28日、ティク・ナット・ハン師は医師と看護師と5人の僧侶たちを伴って、タイ国に到着しました。医師の話によると、「上空では、さらに元気に」見受けられたとのことでした。ティク・ナット・ハン師は横たわろうとはせず、姿勢よく座って、意識をしっかり保ち、空路のほとんどを、眼下の美しい景色を楽しまれて過ごしました。空港では50人の僧侶たちと在家の弟子たちに迎えられた後、病院へと直行しました。
ティク・ナット・ハン師は検診と共に、新たに血液検査を受け─昨年の今頃フエに移動されてから初めての検査でした─検査結果は、非常に順調に快方に向かっているとのことでした。休憩後には、すぐに退院でき、ティク・ナット・ハン師はパク・チョンのカオヤイ国立公園の端に位置する、タイ・プラムヴィレッジを訪問することを決められました。
ティク・ナット・ハン師にとっては、カオヤイの澄んだ空気はとても過ごしやすく、また、天候も晴れで湿気もありません。若く明るいコミュニティの中で、ティク・ナット・ハン師も側近の僧侶チームもよく休息と食事がとれています。
ティク・ナット・ハン師がこの先タイ・プラムヴィレッジにどのくらい滞在するかを、私たちは見守ることになるでしょう;2週間後に控えた見習い僧・尼僧らの得度式を応援するために、このまま滞在が続くかもしれません。 私たちの印象では、ティク・ナット・ハン師はこれまで暮らしを楽しまれ、本堂の改修完了を待ち望んできた、慈孝寺のあるベトナムに、すぐに帰国することになるのではないかと思っております。
治療方針について、ティク・ナット・ハン師が明確に意思表示され、主体性を持たれていることに、私たちは感謝しています。これによって、私たちは必要な決断と手段を手助けすることができているのです。
肉体的な脆さを乗り越えていくティク・ナット・ハン師の品位と威厳から、私たちは学んでいます。私たちは、世界でティク・ナット・ハン師の精神のコミュニティを育て、その教えと志しを受け継いでいくことに、一心で取り組んでいきます。
愛と信頼をこめて、
プラムヴィレッジ僧侶一同
(翻訳・西田佳奈子)
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