2019.10.2 SNS掲載
ずっと順調であり続け、苦痛を感じたり、病気をして苦労しないことは、とても心惹かれます。
多くの人が、人生で決して深刻な困難や試練に遭遇しないことを望んでいます。
でも私自身が経験したのは、もし大きな困難や苦悩に遭うことがなかったら、精神性に生きる上で、決して成長する機会は得られず、決して癒しや変容を経験することもなく、これほど深遠な平和や喜び、自由に触れることもなかったことです。
もし苦難を経験しないとしたら、一体どう理解や慈悲を生み出せるでしょう。 慈悲は苦難を理解することで生まれます。
理解や慈悲なしでは、私達は幸せな人間にはなれないのです。 私にとって教え子たちはとても大事です。
でも教え子たちを天国や苦しみのない場所に行かせたいとは、決して思いません。
蓮の花を育てるのは、泥がなくてはできません。
幸福と平和は、苦難と悲しみの変容から生まれるのです。
泥が無かったら、どう私達は蓮の花を育てられるでしょうか。
蓮の花は大理石の上では生きることはできないのです。
ティク・ナット・ハン
(翻訳 西田佳奈子)