慈悲喜捨に安住する

ブッダは一日二十四時間、愛に満ちた状態でいることは可能だと説きました。どの所作も、どのまなざしも、どの思考も、どの言葉も、ひとつひとつに愛をこめることができるのです。

 

ブッダの生きた時代、バラモン教の人々は死後、天国に行って、万物の神ブラフマンと永遠に暮らせるよう祈りました。

 

ある日、バラモン教信徒の一人がブッダに尋ねました。「私が死後、確実にブラフマンの元に行くために何ができるでしょうか?」

 

ブッダは答えました。「ブラフマンは愛の根源であるがゆえに、あなたがブラフマンの元に安住するためにはブラフマヴィハラである、愛、慈悲、喜び、そして囚われや分け隔てのなさを実践しなさい。」

 

ヴィハラとはとどまる、あるいはどこかへ安住することを意味し、ブラフマヴィハラとはブラフマンの住処を表します。この四つのブラフマヴィハラはまた、四無量心とも呼ばれます。実践すれば、全世界を包容するまで、毎日あなた自身の中で育ち続けるからです。あなたはもっと幸せになっていき、あなたの周りの人々もまた、皆もっと幸せになっていきます。

 

四無量心は真の愛の四つの要素です:

マイトリ──慈(幸せを捧げたいと願うこと)、カルナ──悲(相手の苦しみを取り去りたいと願うこと)、ムディタ──喜(周りの人々に喜びをもたらし、人々の幸せによって自分が幸せになりたいと願うこと)、ウペクシャ──捨(差別することなく全てを受け入れたいと願うこと)

 

あなたが、家族の誰か、自分の国の誰か、同じ宗教の誰かだからではなく、命あるものがあなたの愛を必要とするがゆえに愛するなら、その時あなたは差別なく愛し、真の愛を実践しているのです。これら愛の要素である、慈悲喜捨の内にあなたが安住するとき、あなたは宇宙でもっとも美しく、平和と歓びに満ちた領域に生きるのです。

 

ーティク・ナット・ハン